詰め物をした後に、どうして歯がしみる?

「虫歯の治療をした後、詰め物をしてもらったのに、どうして歯がしみるのですか?」「まだ虫歯が残っているのではないですか?」

虫歯が神経にとても近い場合には、時々ですが上記のような質問があります。

患者さんとしては、虫歯の治療の後に治療したはが染みたりいたんだりするのでとても心配な症状でしょうね。虫歯の治療の後に、治療した歯がしみたり痛んだりして、心配になったことはありませんか?

 

歯科治療自体はうまく出来ているのですが、実際の歯科治療ではよくあるケースです。このような症状が出てくるのは、象牙質の構造に原因があります。

健康な歯は、エナメル質で覆われており、エナメル質はとても硬い組織です。ところが、虫歯などでエナメル質に穴ができると、象牙質がむき出しになってしまいます。そうなるとさまざまな刺激が歯の神経に伝わるようになります。

象牙質という組織は、象牙細管という細いチューブが寄せ集められた構造をしています。そしてその象牙細管のチューブのなかには、歯の神経から延びる細長い神経組織が入っています。そして、象牙質がむき出しになるということは、「歯の神経がむき出しになるのとほとんど同じこと」になっています。

 

 

 

 

 

 

 

虫歯の治療後にしみるという症状は、こうした象牙質の構造が影響しているのです。

そして、虫歯を治療する際には、もちろん細菌に汚染された象牙質を削って取り除くのですが、実はこの際、象牙細管の中を通る細い神経組織の末端も同時に取り除くことになります。その為に虫歯の治療後にしみるという症状が出てしまうことがあるのです。

 

しかし、人間には生体反応があります。このしみると言う刺激は、とても大切です。つまり、しみるという刺激が神経に伝わり続けると、その刺激をシャットダウンするために、歯には二次象牙質という防御機構が出来ることが多いのです。

これには2~3ヶ月ほどかかりますが、二次象牙質ができると、しみることはだんだん落ち着いてくることが多いです。つまり神経を取らなくても、様子を見ているうちに症状が消えてしまうということがあります。

 

歯の神経を取れば、簡単にしみる症状は改善しますが、その神経は歯に栄養を運ぶ大事な組織です。できるかぎり神経を保存し、歯を長く使い続けることが、一番大切な事です。私はできるだけ、その点を大切に歯科治療を行っています。

 

もちろん大きな虫歯であればやむを得ず神経を取る治療も多いのですが、虫歯治療の際には、出来る限り神経を保存し歯を長く使い続けることが1番大切なことです。

 

患者さんにもいつもお願いしている事ですが、虫歯は放っておいても自然に治る事はありません。
歯が欠けたり、詰め物が取れたりした場合には、一刻も早く歯医者さんを受診して、虫歯治療を行ってくださいね。

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