「歯ぎしり」とは?

「歯ぎしり」の本当の恐ろしさ

歯ぎしり・食いしばりの自覚はなくても、犬歯や前歯が削れている、詰め物やかぶせ物がよく外れたり壊れる、歯が折れて抜歯になったことがあるなどの患者さんは力のコントロールが必要かもしれません。大切な歯を守るため、顎関節症を防ぐために是非一度ナイトガード使用についてご相談ください。

歯ぎしり、食いしばりとは、眠っているとき、また起きているときに上下の歯をギリギリと強くこすり合わせたり、強く噛みこんだり、グッと食いしばったりすることをいい、 専門用語では「ブラキシズム」です。
歯ぎしりなら、ご家族に指摘されて自覚できることもありますが、食いしばりの場合はほとんど音がしないため、ご本人はもちろん、周囲の方も気が付かないときも多いものなのです。
原因としては、ストレスが一番といわれています。また睡眠の質、服用中の薬の影響、飲酒なども原因といわれています。しかしストレスのかかる生活を送っている方も多く、なかなかストレスをなくす生活環境にすることも難しいかと思います。

歯ぎしりの治療について

歯ぎしりはなくす事ができませんが、悪影響を少なくすることが大切です。
さかの歯科では、歯ぎしりの治療として、マウスピース治療(ナイトガード治療)を行っています。 マウスピース(ナイトガード)は柔らかい素材を使用し、上下の歯が物理的に接触することを防ぐことができ、歯ぎしりの力を緩和しストレスを軽減します。マウスピース(ナイトガード)は健康保険を適用可能ですので、お気軽にご相談ください。

マウスピース治療の手順

  1. 1.診察・診断

    マウスピース治療をする患者様の口腔内の状態の診査し、歯ぎしりによる歯のすり減りや咬耗の状態、骨の状態、粘膜の状態を確認します。
    右の画像は、正しい噛み合わせの状態の模型です。

  2. 2.歯型をとります

    次に、患者さんに合わせたマウスピース(ナイトガード)を作成するために歯型をとります。
    患者さんの歯並びに合ったマウスピースを作ります。

  3. 3.マウスピースの完成

    1週間ほどで マウスピース(ナイトガード)が出来上がります。一度医院に 来ていただき、マウスピースの使用方法をご説明いたします。

  4. 4.マウスピースの装着

    鏡を見ながら マウスピース (ナイトガード)を口腔内に装着します。装着時のご注意などを説明いたします。就寝時に着けていただきます。マウスピースを装着するにあたり、ご不明な点等ございましたら、お気軽にお尋ねください。

  5. 5.経過観察

    お口の症状が緩和しているかどうか、マウスピースが合っているかなど、経過観察していきます。
    診察にて、経過をお聞きしながら、治療にあたります。マウスピースや歯ぎしり等で不安な点等ございましたら、お気軽にお尋ねください。

「歯ぎしり」の種類

歯ぎしりには3つのタイプがあり、これらが単独で生じている場合と、複合的に重なって 起きている場合が考えられます。

グラインディング

歯ぎしりのうち、「グライディング」は就寝中に歯をこすり合わせるタイプで、ギリギリと独特の音がし、周囲の人が気づきやすいのが特徴です。

クレンチング

就寝中だけでなく、日中も常に歯を強く噛みしめているタイプの歯ぎしりです。
歯ぎしりですが、音がしないため、本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。

タッピング

カチカチと歯を鳴らすタイプの歯ぎしりで、グラインディングやクレンチングと比べて、本人が気づきやすいのが特徴です。

「歯ぎしり」による全身・口腔への影響

1.健康な歯が削れてしまう

健康な奥歯は山形になっていますが、歯ぎしりで山形の部分が削れてしまい、平らな形状になってしまいます。そうなると虫歯や歯周病になりやすくなり、将来的に歯を抜かなくてはならなくなる可能性が高くなります。

2.頭痛や肩こりの原因になる

歯ぎしりによって、絶えず口腔内の筋肉が緊張していることになります。そうなると、それらの筋肉につながっている首や肩まわりなどの筋肉も緊張していることになり、頭痛や肩こりの原因になってしまいます。

3.歯周病の悪化

歯ぎしりで歯が揺さぶられると、歯を支えている土台部分にも負荷がかかります。歯が傾く・動くなど症状がでてきて、歯周病が悪化しやすくなります。

4.歯が折れる・かぶせ物が壊れる

歯ぎしりにより、強い力が加わってレジンやセラミックが割れてしまうことがあります。また、ご自身の歯も割れてしまうこともあります。抜歯が必要となることさえ、あります。

5.顎関節症

歯ぎしりをすると、顎の関節に大きな負担が掛かり、顎関節症を発症することがあります。顎関節症になると、開閉時に痛みや音がしたり、開口障害が起こります。

6.知覚過敏になる

歯ぎしりにより、悪い力が歯にかかてしまうと、歯の表面を覆うエナメル質が一部剥離して、象牙質がむき出しになってしまいます。冷たいものがしみるようになり、知覚過敏になります。

「歯ぎしり」の口腔内所見

1. 歯の咬耗(すり減り)

歯ぎしりによって、歯の咬耗(すり減り) 上下が擦れる事でエナメル質がすり減り、黄色の象牙質が露出している状態です。

2. 犬歯、小臼歯のディンプル(溝)

歯ぎしりが原因で、エナメル質が削られ、中の象牙質が露出した状態です。

3. 大臼歯のディンプル (溝)

歯ぎしりにより、大臼歯のディンプル (溝) エナメル質が削られ中の象牙質が露出してしまった症例です。

4.歯の破折

歯ぎしりによって歯の破折 第一小臼歯が近遠心的に破折してしまいました。

5.マイクロクラック (歯のヒビ)

縦に入った亀裂が見え、強い力(歯ぎしりなど)により歯に ヒビが入ってしまった状態です。放置すると割れる可能性があります。

6.くさび状欠損(歯の根元がえぐれる)

歯の根本(歯と歯茎の境目)がくさび状に削れてくることで歯が欠損してきます。放置すれば、知覚過敏になってしまいます。

7.シャイニングスポット

歯ぎしりにより金属が長時間何回も擦れ金属の一部がピカピカに研磨された状態です。

8.頬側の骨隆起

歯ぎしりによって歯の破折 第一小臼歯が近遠心的に破折してしまいました。

9.口蓋(上顎)の骨隆起

歯ぎしりの強い圧が、数十年加わり続けると、口蓋(上顎)に骨隆起ができてきます。

10.下顎の骨隆起

歯ぎしりの強い圧が、数十年加わり続けると、下顎に骨隆起ができてきます。

11.頬粘膜の圧痕(白線)

歯ぎしりや食いしばりにより頬の内側の粘膜に歯の圧痕がつくことがあり、白い線に見えるため、白線といいます。

12.舌の圧痕

歯ぎしりや食いしばりで、舌の横に歯型の痕がつき、舌がギザギザになっている状態です。